悲しい決意

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「ごめんな、リョウ…。」 きっと、俺がどんなに引き止めたって、先輩は思い直してはくれない。 …なら、行く事ができなくなるようにすればいい。 「…分かりました。先輩がそこまで言うのなら、俺も応援しますよ。」 「リョウ…!ありがとな。お前に言うのが一番怖かったんだよな。何か怒られそうだったし!」 笑う先輩。 「…紙、ゴチャゴチャにしてスイマセン。返しますよ。」 丸めた紙をポケットから取り出しシワを伸ばす。 紙には『留学』の二文字。 「ああ、顧問からもう一枚もらってくるよ。」 安堵の表情で紙を受け取る先輩。 「…行けるといいですね、アメリカ。」 俺の微笑みに、照れながら微笑み返す先輩。 「ああ!ぜってえ行くよ!」 行かせない。 絶対に…
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