闇と隣にあるもの

3/3
前へ
/33ページ
次へ
母と父はとても優しく、大切に育ててくれた。 そこには、同情はなく、素直な温かさが溢れていた。 だからだろう…私は彼に出会うまで本当の闇というのを知らなかった。 真っ暗で何も見えない深海のような… 普通なら闇と光は隣合わせのはずなのに、彼にはそれがない。 何故だろう…勝手に涙が出てくる。 怖いのであろうか? それとも同情? その時。 『あんたウザイ。』と言ってどこかへ行ってしまった。 あぁ、この人は誰かに優しく接することを辞めた人なんだ… きっと深い傷を負ってしまったから、闇しかないんだ。 私は心の中で“さよなら”をそっと彼に告げた。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加