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母と父はとても優しく、大切に育ててくれた。
そこには、同情はなく、素直な温かさが溢れていた。
だからだろう…私は彼に出会うまで本当の闇というのを知らなかった。
真っ暗で何も見えない深海のような…
普通なら闇と光は隣合わせのはずなのに、彼にはそれがない。
何故だろう…勝手に涙が出てくる。
怖いのであろうか?
それとも同情?
その時。
『あんたウザイ。』と言ってどこかへ行ってしまった。
あぁ、この人は誰かに優しく接することを辞めた人なんだ…
きっと深い傷を負ってしまったから、闇しかないんだ。
私は心の中で“さよなら”をそっと彼に告げた。
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