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「結香… ねぇ起きて。」 深い、何処か深いところに落ちている意識を呼び覚ますような 声が聞こえる。 んっ うるさいなぁ… 私はまだ此処に居たいのに。 「結香ぁ 置いてくよ?!」 誰?私を 呼ぶのは。 聞き覚えのある 優しい声。 『結香は 笑顔でいるんだよ。 泣き顔は可愛くないもん。』 うん、わかってるよ。 私は笑ってるよ。 いつも頭の中で 繰り返される言葉。 「もぅ結香、結香ったらぁ。」 でも今、私を呼んでるのは いつもと違う声。 アナタは誰? 覚めない頭の中は霧がかかったよう。 思考回路がついていかない。 「はぁ。ほっとけよ、こんな奴。」 先ほどの優しい声とは異なる声が聞こえた。 その声を聞いた瞬間 頭の中の霧が晴れ、思考回路は声の主を判断する。 この低い 冷たい声は “雪也だ”
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