*1*

5/12
前へ
/46ページ
次へ
「ごめん真名。 また寝てたんだね、いつも起こしてくれてありがとう。」 授業中眠ってしまった結香を起こすのが 真名の日課になっていた。 両手を顔の前で合わせる。 いつものように謝り感謝を述べながら、はにかみ、無邪気に笑う。 真名はこの無邪気な笑顔に負け、いつも何にも言えなくなってしまう。 「はぁ…いつもながら結香はよく寝るね。 これでテストは毎回上位だし。真剣に授業受けてる人がかわいそうになってくるよ。 先生も諦めてるし。」 真名は珍しく愚痴をこぼした。 「いやん、そんなこと言わないで。 真名が毎回優しくノートを見せてくれて、すごくわかりやすくて。 それを見て勉強してるもん。 だから、真名のおかげ☆」 座っていた椅子から立ち上がり、隣に立っていた真名に抱きつく。 ‘真名のおかげ’ と言う部分を強調させて、キラキラした目で真名を見つめる。 「もぉ… 結香には負けたわ。」 可愛い小動物の様な結香を、包むように抱きつき返す。仲睦まじい友情‥? はぁ、お前らなんなんだよ…。とでも言いたげな顔で、雪也は呆れていた。 毎度のことながら一部始終に口を出せず、二人をただ見つめることしかできない。
/46ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加