髪の香りと砂の味

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髪の香りと砂の味

あたしはバカなのだろうか、と思った。   なぜ、ここに座って、あのニキビ面の教員の不愉快な話を聞いているのか、さっぱり思い出せないのだ。毎日当たり前過ぎて、すっかり忘れてしまった。   くたびれた机に突っ伏して眠るクラスメイトの奥には、冷たくて青い空が広がっているっていうのに。 あたしは愚かだ。     【吉原 希望、中学3年のある冬の晴れた日の考察】    
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