運命の扉

5/8
213人が本棚に入れています
本棚に追加
/76ページ
僕は無意識の内に、心の奥底で今日はいつもと何かが違うと感じていた。 それは、長年付き合った彼女に別れを告げることへのプレッシャーなのだろうか。 朝からそれだけが気掛かりだった。何か漠然(ばくぜん)とした不安が、無意識の内に宿っていた。 仕事が終わったら、彼女と会う約束になっていた。 出会った頃は、いつも一緒にいたいと思っていた。見るモノ全てが新鮮だった。 そう、毎日がキラキラと輝いていた。 それが…最近は、なんとなくギクシャクしている。 つい最近も些細(ささい)なことで口喧嘩(くちげんか)をした。 長すぎた春?倦怠期(けんたいき)?移り気? 時間の流れが、いつしか微妙な距離感を生んでいったことは間違いない。 相手の欠点ばかりが、目に付くようになってきた。 アバタもエクボという時代は、遠い昔に過ぎ去ってしまったようだ。
/76ページ

最初のコメントを投稿しよう!