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フォルクロア
「おじさん、おじさん、新しい伝説の話を聞かせてよ!」
古い酒場の片隅に居る、怪しい老人に、
ごく普通の7、8歳位の少年は、話かけていた。
「おじさんは、商売でやっているんだ、ただでは、話せないんだ。」
そう言うと少年は、満面の笑みで腰から袋を取り、それを手渡した。
「こんなには、いらないよ。」
老人は、普段は10ストーンで話すのだが、
袋から5ストーンだけ取り、少年に返し話始めた。
ストーンは、この世界の最小通貨である。
「この話を聞く前に、この事知らねばならない。」
「悠久の時よりの約束を、
人はいつしか短命になり、
それゆえ、
その約束を、忘れてしまった。」
「そのことが、
すべての世界の人々を、
混沌に巻き込む事になるとは、
思いもよらないことであった。」
「それゆえ、
すべての世界の人々は、
人を、恨み、呪い、憎んだ。
それは、遠い昔の事であった。」
影法師は吟う、
フォルクロアを。
「魔人が、生みし太陽を、
ハッカケハッカケ、飛び散り星、
すべての世界に飛び散った。
驚異の魔獣を倒すため、
イースの王は星を集める。
星の名は、フォルクロア。
六つの星を集めた王は、魔獣を封じ、国を興す。
それでも、星は、駆け巡る。
深き闇の王、魔獣を放つ。
小さな風は、星を運ぶ。
それでも、星は駆け巡る。
風は西に南に北に、
風は、西に北に南に東に。
すべての星は駆け巡る。
すべての星は、西に飛ぶ。
ついに、魔獣を、滅ぼしさる。
それでも、星は駆け巡る。
星の名は、フォルクロア。」
影法師は、いつまでも吟う、
フォルクロアを。
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