秘剣、旅立つ。

1/48
前へ
/325ページ
次へ

秘剣、旅立つ。

深く暗い地の底の大神殿。 その、大広間にぽつりと玉座が、 奥のほうに据えられている。 玉座より奥の壁面が完全に床に着いておらず、 すき間から、 地の底の獄炎が灯りとなり、 赤黒く壁を照らす。 それが、いっそう玉座を暗く、 また、 広間には玉座以外無く、 孤独と恐怖を誘う。 そこには、 玉座に座る者と、 その前に膝まづく者しかいない。 玉座の主は、 膝まづく者に静かに、問いかけた。 「首尾はどうか、……。」 「はっ、進軍を開始したところでございます。」 玉座の主は軽く頷き、 再び、 広間は、重い沈黙の世界に入っていく。
/325ページ

最初のコメントを投稿しよう!

46人が本棚に入れています
本棚に追加