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辺境の野は、
野の草の生い茂る季節も終わり、
涼しい風の吹き始め、
平原の中には街道が伸び、
町からシャウリン山に続いていた。
その街道を疾駆する一騎が、
シャウリン山に向かっていた。
黒い鎧の騎兵は、山の中腹で進路を左に変え、
タバの森に入っていく。
しばらく行くと、古びた小さな家が見えてきた。
騎兵は、更に速度を上げ、
その家に向かった。
家の前まで来て馬を降りた騎兵は、
背も高く胸板も厚い、鎧の上からでも、
鍛え上げられた肉体が、容易に想像がつく。
そして、
武器防具マントに至るまで、
良く手入れが行き届いているところが、
身分の高さを感じさせる。
黒鎧の騎士は、勢いよく扉を開け入っていった。
「火急(かきゅう)の用件ゆえ失礼する!」
カギは、かかっていなかった。
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