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少年は、交錯する木刀をかいくぐり、素早い連撃をそれぞれに決め、二体の木人は、樹の根元まで、飛ばされた。
パカーンガラガラ、
その音を聞き、
一人の少女は、少年の居場所を察知し、大喜びで木々の上の枝から枝へと渡って行く。
まるで、小動物のような軽い身のこなし、
さらに木の葉一つ動かさないうえ、気配も一切出さないで近づいて来た。
少女の瞳は、好奇心と夢に満ち溢れ、いたずらぽく輝いている。
髪は黒で、襟(えり)にかからないように切り整えている。
ただ、前髪のクセっ毛は草の葉くらい、ピョコンと跳ね上がっている。
シャウリン門の女拳士(おんなけんし)の武闘着(ぶとうぎ)を着こなしている少女は、今にも笑い声が溢れそうな顔して我慢している。
少年は、さらに迫り来る5体の木人に集中していた。
と、木の上から、少女のドングリつぶてが二発、少年のほほに命中して、思わず、
「イテッ」
気が削(そ)がれた。
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