第二章

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男は俺の存在に気が付くと何も言わず散っていった。 「お前何考えてんの?」 「うわっ!いたん!?つか何って何?」 急に後ろから喋りかけたもんだからマチコはびっくりしていた。 「ナンパされてたじゃねーかよ」 「え?あれナンパって言うん? だって向こうが喋りかけてきてんもん!」 何だよ。白々しい。 「喋りかけてきたからって危ないだろ!?無視しろよ!」 「無視してたわ!第一、私男は…無理やねん」 「何が無理だよ!さっき腕触られてたじゃねーかよ!本当は嬉しかったんじゃねーの?」 「あんたに何でそんな事言われなあかんの!?無理って言ってるやんか!」 何でキレ口調なんだよ!! 「嘘ついてんじゃねーよ!お前俺と今まで普通にしてたじゃねーかよ!」 イラッとする。 ムカつく! 俺を誰だと思っている! 二次元なんかより、もっといい男だぞ! 俺は乱暴にマチコの腕をつかみ自分の胸の中に引き寄せた。 「いやっ!」 あいつは女の力で俺の腕から一生懸命もがいた。 「いやだ!やだ怖い!」 「やめて……離して…」 かすれた声が聞こえ俺は手を話した。 ヒッ…ク え… 泣いてる。 俺の目に映ったのは、声を殺してうつ向き泣くか弱い女の子。 俺… 泣かした……? 俺女を泣かした……… なんて事を! 「男なんか嫌いや!お前も嫌いや!!」 マチコは俺を睨むと走って去っていった。 俺最低だ…。 マチコを追う事なく、俺は暫く、ぼーっとしていた。 「嫌い…か… 今まで女に言われた事なかったな…」 胸が締め付けられたのは プライドのせいだろ?
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