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なんとか家に着き、絢都は真っ直ぐに自分の部屋に向かう。
「はぁ…」
大きな溜め息を吐きながらベッドに深く倒れ込む。
「はぁ…」
もう何もかもどうでもよくなってきた。
この際父の跡を継いでしまおうか…
楽しいかもしれない。
「は、はは…」
自暴自棄にも程がある。そんな事したら一生この世界から抜け出せない。
「……寝よう」
ショックな事が大きすぎて何もする気がない。
絢都は重い瞼をゆっくり下ろした…
夢を見た。桜上水が笑顔で話し掛けてくる夢だ。
何を話しているのかわからないがとても楽しい話なのは確かだ。彼女は一々表情をコロコロ変えて飽きない。
見ているだけで心穏やかになる。
もっとその笑顔を見ていたかった。
夢じゃなく現実で…
夢は願望を表すと、きいた事がある。
今見ている夢は彼女の沢山の笑顔。
まさしく願望の表れだった。
彼女が笑う。
彼女が怒る。
彼女が泣く。
彼女が困る。
彼女が照れる。
そのどれもが夢でも愛しく感じた…
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