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学校へ続く長い坂道
また、いた。
朋也「おまえ、またかよ…。どうして、ひとりじゃ上がれないんだ?」
女の子「えっと…、それは…、その、なんといいますか…」
朋也「いや、別に無理して話さなくていいけどさ…、俺ら他人だし」
女の子「あ、はい…」
朋也「でもさ、学校は真面目に出たほうがいいぞ」
女の子「遅刻してます」
ぴっ、と俺を指さした。
朋也「俺はいいんだよ…俺は…」
目を逸らす。
そもそも何を俺はこんなに真面目ぶって、他人を諭してるのだろう。
そう、こいつの言う通りだ。
同じ不良学生だ。
朋也「好きにしてくれ」
見捨てて、ひとり坂を登り始める。
ただ… そんな不良に見えなかったから、話かけてしまっただけだ。それだけだ。
女の子「あっ、待ってください」
声…さっきの女の。
女の子「あの…ついていっていいですか」
振り返ると、すぐ後ろにちょこんと立っていた。
朋也「どうして」
女の子「それは…、ひとりで行くのは、不安だからです。………」
こんな見ず知らずの男を頼るこいつ。
友達のひとりやふたり、居るだろうに、なんでまた俺なんかを…。
俺は逆光に目を細めながら、坂を見上げる。
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