坂上 智代√       4月15日(火)

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どうせ、すぐそこまでだ。 朋也「好きにしてくれ」 言って、再び歩き出す。 女の子「待ってください」 朋也「今度はなんだよ」 彼女は俺を見つめながら… 女の子「あんパンっ…」 そう言った。 朋也「………」 俺はなんて答えればいいのだろうか。 朋也「フランスパン」 女の子「なんのことだか、よくわからないです」 朋也「それはこっちのセリフだ。なんだ、あんパンが好きなだけか」 女の子「いえ、取り立てては。といっても嫌いなわけではないです。どっちかというと好きです」 回りくどい奴だった。別になんでもいい。 朋也「いくぞ」 女の子「はいっ」 その返事は、少しだけ元気になっていた。 謎の言葉は、まじないか何かだったのか。 たとたとたとっ… 後ろから駆け足に近い足音が聞こえ続けた。   午後になり5時間目の授業が終わる。 ふと、窓のそとを見る。 朋也「…ん?」 先ほどまでなかった光景が、そこにはあった。 今、坂を登ってきたのか、バイクが二台、校門の近くに止まっていた。 二人とも若い男、そのうちのひとりが、手を振って合図する。 二台のバイクは、爆音をあげながら校内の敷地内を爆走し始めた。 近くの工業高校の生徒だ そのバイク二台に向かって、悠然と歩み寄っていくひとりの生徒の姿があった。 長い髪に、細身の体…女生徒だった。
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