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黄色い声まであがり始めている。
春原「ひゅーっ」
つーか、おまえか。
春原「説教する気かなっ」
朋也「まさか…しゃれにならないぞ…」
教師たちは何をしているのか、一向に出て来ない。
春原「うおっ、始まるぞっ」
女生徒を前に、バイクは停止していた。
双方向かい合い、何事か話し合っている様子だ。内容はわからない。
声「智代さん、やっちまえ!」
階下から、声援。
春原「やるって、あの子が?はは、やられるっての」
一瞬、女が笑った気がした。おもしろい、と。
その後は、瞬きをしている暇すらなかった。
気がつけば、歓声の中、戻ってくる女生徒の姿があった。
両手に不良たちを引きずって。
朋也「………」
春原「………」
しばし、言葉を失う。
春原「はは…なにあれ?」
暇つぶしには最適。
席を立ち、教室を後にする。
春原「僕も行くよ、待てっての!」
春原も追いかけてくる。
春原「あんなの絶対、おかしいってっ。ありえないよ」
朋也「ま、この目で確かめてみようぜ」
職員室前の廊下。
そこにも野次馬が集まっていた。
知らない顔ばかり。下級生の連中だろう。
三年で、ここに来ているのは俺たちふたりだけだった。
教師「で…」
女生徒「正当防衛だ。そうだろ、おまえたち」
野郎ども「は、はいっ、オレたちから仕掛けました!智代さんは、悪くありませんっ!」
教師「智代さん? 名前知ってるってことは、知り合いなの、君達?」
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