プロローグ

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一面、白い世界… ……… 雪… そう、雪だ。 今なお、それは降り続け、僕の体を白く覆っていく。 ああ… 僕はこんなところで何をしているのだろう…。 いつからこんなところに、ひとりぼっちで居るのだろう…。 ………。 雪に埋もれた…僕の手。 それが、何かを掴んでいた。 引き上げる。 真っ白な手。 女の子の手だった ああ、そうだった…。 僕はひとりきりじゃなかった。 彼女の顔を覆う雪を払う。 穏やかに眠る横顔が、現れた。 そう… この子とふたりで…ずっと居たのだ。 この世界で。 この、誰もいない、もの悲しい世界で。
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