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この町は嫌いだ。
忘れたい幸せが染み付いた場所だから。
毎日学校に通い、授業を受け、友達とだべり、そして帰りたくもない家に帰る。
何も新しいことなど始まらない。
朋也(こうしていて、何かが変わるんだろうか…俺の生活は、いつか変わるんだろうか…)
やたらと自然が多い町。
山を迂回しての登校。
すべての山を切り開けば、どれだけ楽に登校できるだろうか。
直線距離を取れば、20分ぐらいは短縮できそうだった。
朋也(一日、20分…すると、一年でどれくらい、俺は時間を得することになるんだ…)
計算しながら、歩く。
朋也(ああ、よくわかんねぇ…)
辺りに同校の生徒の姿はない。
学校に続く大通りだから、本来、生徒で賑わっているはずだった。
今日が休日というわけでもない。
つまりは…生徒が登校すべき時間ではない、ということ。
けど、そんな閑散とした光景を目の当たりにしても俺は焦ることなく、悠長に歩き続けた。
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