遥斗の憂鬱

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「遥斗…」 「なに?」 「…なんでもない」 帰国して…遥斗(ハルト)と再会してから、3日が過ぎた。 家具、お揃いのコップ、2つ並んだ歯ブラシ…もう必要のない制服まで。 遥斗の配慮なのか、全てが以前と変わらぬ状態で各部屋に置かれていた。 まるで、離れていた期間なんてなかったかのように。 だけど、ただ1つ… 「…あの、さ」 「なに?」 言っていいのか。 いや、敢えて気付かないフリをするべきなのか。 本人が自覚しているのかどうか…そこがポイントだよね。 よし、聞いてみよう。 「……見過ぎ、なんだけど…」 そう。 洗濯物を畳む泪(ルイ)に、じっと向けられる視線。 今だけじゃない。 掃除機をかけていた時も、食事の用意をしていた時も、昨日も、一昨日も。 ここ3日間、ずっと遥斗の視線が向けられていた。
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