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「…っふざけんなぁー!!」
長々と続く階段。
それを立ち止まる事なく一気に駆け上がると、辿り着いた先であたしは力一杯叫んだ。
「ほんっと…っ…さいてー」
はぁはぁと肩で息をしながら、屋上の真ん中に座り込む。
激しく渦巻く感情とは裏腹に、ふと顔を上げれば青く澄んだ空が広がっていて、心地よい風が肌を撫でた。
「男なんて、ヤれる女なら誰でもいいんだ…」
怒りで支配されていた心が、こうしていると少しずつ冷静さを取り戻してくる。
だが、そうなると次にこみ上げるのは悔しさ。
泣きたくない。
泣いたら負けだ。
どうしてこんな事になっちゃったんだろう…
流れる雲を眺めながら、あたしは涙が零れないようにぎゅっと拳を握り締めた。
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