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 坂田英夫はソファーに倒れ込むようにドカッと腰を下ろした。多少気分が落ち着いてきたが手がまだ震えている。  19歳になったばかりの一人娘が行方不明になり遺体で発見されてから10日が過ぎた、体重が10キロ落ちた。50歳の誕生日から二年間禁煙していたタバコをまた吸い始めた。妻は精神的ショックで入院した為、今家に居るのは自分一人だけだった。  英夫は深く深呼吸をしてから自分の足元に転がっている物を見た。見ると再び悲しみとともに憎悪が蘇ってくる。それは英夫がつい先程殺した少年、警察が坂田真希を殺した容疑者として追っていた少年だった。
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