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「でも大丈夫。私は誰にでも優しい、天使みたいな女の子だもの。
あなたみたいな脳内アメーバさんとも、いつまでも末永く仲良くしてあげるから、安心して?むしろあなたが嫌がったって、絶対離れてあげないんだから。」
さんざん人を馬鹿にしておいて、結局勝手に自己完結している彼女。
何だか少し危ない目をしているが、そんなの気にしない気にしない。
それにしても、はぁ、まったく…。
俺で遊んでる時のこいつは、何でこんなに良い顔してるんだろうなぁ。
キラキラしてる。
あぁ、もう本当に可愛い顔で笑いやがって…。
そんなに、楽しいのか?いやまぁ、楽しいんだったら、別にそれでいいんだけどさ。
「はいはい、有難う御座います、詩織様。」
「ふふっ。そんな章人君。有難うだなんて、水臭いわよ。鼻が曲がってしまいそう。私は当たり前の事を言ってるだけなんだから、気にしないでいいのよ。黙ってお金さえ払えばいいの。
それはそうと…、少し頭が高いわよ章人君?何となく腹立たしいから、土下座してくれるかしら?」
「…」
俺が、この、どうしようもなく性悪で、手のつけられないくらい意地悪で、ほんのちょっぴり可愛い少女と出会ったのは、
確か高校二年生の時だった。
小さい頃から、恋愛とかそういうのに縁がなかった俺は、高二の春、初めて「恋」をした。
薔薇の棘のような、危険性を孕んだ彼女は、それでもやはり、魅力的な華を咲かせていて…。
この少女の事をもっと知りたいと思った。
これは、そんな、俺の少し遅い初恋を描いた物語。
龍も魔法も妖精も、そんな類の物は一切出てこない、ただの愛の物語。
つたない言葉でしか、話せないと思うけど、どうか聞いて欲しい。
これは、俺と彼女の物語だ。
…。
……ん?
ちょっと待って監督!
このページの台本、最後の方おかしくないですか!?
俺と彼女って誰と誰!?
これ俺のお話なんですよね?俺、別に愛なんてありませんし、大体俺の初恋は小1の頃……
ちょっと監督!さっきからごそごそ何やってるんですか!?まさか無理矢理このページ終わらせようとかしてませんよね?
ねぇちょっと!監と……
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