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都会の汚れた路地裏
一人の男が立っていた。彼の足下には、うずくまった男たちがうめき声を上げていた。彼の名は山田健と言い、彼を知らない奴はこの街にはいないと言っていい程、有名な喧嘩士であった。
「ちっ、雑魚が…」そういうと山田は胸ぽけっとから煙草を取出し、火を点ける…「ふう、…ん?誰だ?」気付くと山田の後ろに初老の男がたたずんでいた。
「私はポンプだ」
「ポンプ?可笑しな名前だな、じいさん、何のようだ?」
「お前、ころばせやを知ってるか?」
「あぁ?何だそりゃ?」
「知らないのも無理は無いが…お前を勧誘に来た」
「あぁそうかい、じゃあ教えてくれよ!」山田はポンプ目がけてパンチを放った…「空が広いなぁ…って!?俺が転ばされた!?うわぁ恥ずかしい!死ぬマジやばいって…」
ポンプは鋭い眼光で月を見ながら言った「これが、ころばせやだ…人から金を貰い対象を転ばせ、その対象のプライドを傷つける」
「そして惨めに死ぬのか?」
「いいや、頑張れば死なない、それに人を転ばせるにも色々ある」
「何か、よくわかんないけど、爺さん!あんたに付いていかなきゃいけない気がする」
「それも技の効力だ…」
ポンプはぽつりと囁いた。それにしても、こいつには才能がある…こんな所で腐らせてはいけない…必ず一人前のころばせやにしてみせる」ポンプは心に強く誓った。秋の夜長の出来事であった。
第弐章に続く
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