赤染

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「お疲れさまでした!では只今から体験入学の方にうつります!~…」 司会進行役の女性の声なんかまともに聞いていられない。 それほど由奈は感激していた。 あの憧れの、由奈の長年の夢である声優さんに、あの高橋ヒロコに会えた。 しかも手も振って貰えた。 これこそ、いわゆる夢心地と言うのだろう。 恵梨が肩を叩いても全く気付けなかった。 「…な、ゆな、由奈っ!」 「へひっ!?」 おかげで変な声をあげ現実世界に引き戻される。 現実世界に引き戻されればされたで、目の前には怒っている恵梨の顔。 思わず顔をひきつらせた。 「…体験せずに帰るのかな?」 「ごめんっ!行きます行きますっ!!」 バッと由奈はバッグをとり、怒ったように先を歩く恵梨についていった。 先導するスタッフの人がにこやかにエレベーターを開けて待っていてくれ、由奈は申し訳ない気持ちに溢れペコペコと頭を下げながら乗り込んだ。 しかし、まだ気持ちは先ほどの感動の余韻に浸ってしまっていたのだった。
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