その夜

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宮殿の景色をココア姫はまぶたが重くなるまで、眺めていました。 するとどこからか、声がしました。 「やぁ。かわいい お嬢さん。そこで 何をしているんだい?」 ココア姫が振り向くとそこには 金色の髪を夜風に 靡かせ、ニッコリ笑った好青年が たっていました。 どうやって入ったのかって? さぁ?知りません。でも不思議な事でした。お城の関係者以外・立ち入る事のできない はずの城の宮殿に、別の城の王子が 入ってきていたのです。 ココア姫はびっくりし、少し距離をおき、こう言いました。 「…誰なの」 すると好青年は… 「そんなに警戒しないで。 僕悪人じゃないし」 「…名前は…?」 ココア姫はまだ 問い詰めるように 言いました。 「僕? …なのりでる程 そんな高い身分じゃあないからな…ははっ」と 無理のない笑みを浮かべました。 一瞬姫は その笑顔に見とれていましたが、 すぐに 「名前が名乗れないならば悪いけど出て行って」と 冷たくかえしました。 好青年は「…うん。分かったよ。今日は引き返す。また会おう。」と 言い残し、どこかへ消えました。
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