第3章 ~青雷~

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『あの馬鹿は、1人でも2人分の仕事をこなすって言ってるけど、審判役以外の方が疎かになってんのよ。  特に、ここ最近で増えてきた行方不明の事件。これに関して全くの進展がない状況なの。1人じゃ手が回らないのよね』  くっ、もう行方不明者がいるのか……。  その数が何人か気になり、相手に問う。 「行方不明者は今何人だ? 教えてくれ」 『一昨日から今日までの行方不明者の数、警察に届けられただけで11人よ。  一昨日は2人、昨日は6人、今日確認しただけで3人もの人が行方不明になってる。これ、どういう意味か分かる?』  争乱の犠牲者は行方不明とする。死人が歩く可能性がある状況下で、不自然にしない処理とエレアに聞いた。  だから、その意味とは。 「つまり。始まってから3日目で、この争乱の犠牲者が11人もいるって事か」 『正解。  ……って、言いたいところなんだけど、正確には言い切れない状態なのよね。  本来、死体はこっちで回収して密処理。家族の方には悪いけれど、行方不明扱いにして片付けるのが決まりなの。  でもね、この行方不明者は本当の行方不明者。誰1人として死体を回収していないもの、犠牲者とはまだ言えないわ』  ん、話が少し見えてこない……。  11人の行方不明者は本当の行方不明。ならそれは、犠牲者ではなくて普通の行方不明者で良いのでは?  そう、頭の中で疑問符を浮かべていれば。それを察したのか、補足が説明が入る。
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