第3章 ~青雷~

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『説明が悪かったわね。少し分かりやすいように言うと。  行方不明者としている11人は、ただ犠牲者として判断しかねているだけなの。  だって3日で――――ううん、正確に時間を見れば2日ね。その2日間の間に、この街から11人もの人が行方不明者になるのは、どう考えたって不自然じゃない?  前例にも似たようなものが起きたみたいだし。これが単なる行方不明者なのか、それとも争乱関係の犠牲者なのか。地主として調べてみる必要があるの』  確かに、実質2日の時間で、同じ街からそれだけの行方不明者が出ればおかしい。  そして、この街は争乱という現状下。関係あるのか調べた方が良いだろう。  でもだ。頭にある疑問を言う。 「この街の事が全て分かる地主様なら、行方不明者の居所も分かるのではないか?」 『そこまで私の力は万能じゃないわ。  もし、仮にそうなら。わざわざ電話してまで彼女を連れ戻さないわよ。  分かる? 私の力ではどうにもならないし、かといって人手も足りない。なら、彼女に動いてもらうのが当然よね』  至極当然の流れだな。働いていない人がいるから仕事を回す。間違いではない。  さて、どうしたものか。このまま何も言い返さないと、エレアは護衛役を解かれ連れ戻される。それは回避したい。  何とか逃れる算段を考えようと無言でいれば。じれた相手が催促してくる。
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