第3章 ~青雷~

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『ちょっと~、返事が遅いんですけど。いつまで女の子を待たせる気なのよ!?』  短気は損だぞ。と言ってやりたかったが、たっぷり待たせているが故に言えない。言えば、相手の反感を買うだけ。  返事を迫られたが、頭の中では算段がまとまっていない。  催促に何も答えず、算段を考え続けていれば。相手は自分にこう言ってくる。 『ま~、アンタの事だからどうせ。  彼女を返すと自分が困るから、返さないようにする算段でも考えているのよね?』 「あぁ、見事に正解だ。良く分かったな」 『何年付き合ってんのよ私達。それくらい、嫌だけど分かってくるものよ』  この発言だけを他人が聞いたら、誤解を生みかねない言葉である。  しかし、3年間もこうして仕事関係で付き合うと、確かに分かる事はあるだろう。自分はこいつの事なんか分からないがな。  さて、今はこんな考察よりも算段。思考を巡らすが、いかに相手を納得させられるかの決め手が欠けている。  早く考えないといけないのに、一向に考えが出てこない。そうしていれば。 『はいはい、無言のままで電話代だけかさむってのはゴメンよ。  分かった。そんなに返したくないなら、アンタに妥協案を提案するわ』  妥協案を出すと宣言されて、その内容が告げられた。
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