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エレアに貸した部屋の前まで来たが、いきなり戸を開けて入るのも不躾(ぶしつけ)。マナー違反もの。
木で出来たドアでなく、襖(ふすま)であるのだが一応ノックして尋ねる。
「エレア。少し大事な話があるんだが、入っても大丈夫か?」
「構わない。入っても大丈夫だよ」
相手の了承を得て部屋の中へ上がり込むと、黒一色の中に薄い青の色が目に映る。
……暗い。窓があるのだが、落ちた日が照らしてくれる訳はなく。だから電灯という技術が開発されたのに。
灯りも点けず、彼女の目の前に置いてある機械のパネルが、薄青く光っていただけ。座って呆けてでもいたのだろうか。
電灯を点けて、明かりを確保し。晴れやかではなく、曇った顔をしているエレアに自分は聞いてみた。
「電気も点けずにどうしたんだ?」
「少し、……暗い部屋の中で考え事をしたくなっただけだよ。
いや、それよりもさ。話って何かな?」
それ以上触れて欲しくないのか、そっと話を逸らされたが責めはしない。相手側が拒絶している事を問いただすより、話をした方が賢明である。
本題を切り出そうと口を開いた時。目の端にある、機械のパネルの映像が見えた。
映像は、この街の地図か?
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