第3章 ~青雷~

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 エレアに貸した部屋の前まで来たが、いきなり戸を開けて入るのも不躾(ぶしつけ)。マナー違反もの。  木で出来たドアでなく、襖(ふすま)であるのだが一応ノックして尋ねる。 「エレア。少し大事な話があるんだが、入っても大丈夫か?」 「構わない。入っても大丈夫だよ」  相手の了承を得て部屋の中へ上がり込むと、黒一色の中に薄い青の色が目に映る。  ……暗い。窓があるのだが、落ちた日が照らしてくれる訳はなく。だから電灯という技術が開発されたのに。  灯りも点けず、彼女の目の前に置いてある機械のパネルが、薄青く光っていただけ。座って呆けてでもいたのだろうか。  電灯を点けて、明かりを確保し。晴れやかではなく、曇った顔をしているエレアに自分は聞いてみた。 「電気も点けずにどうしたんだ?」 「少し、……暗い部屋の中で考え事をしたくなっただけだよ。  いや、それよりもさ。話って何かな?」  それ以上触れて欲しくないのか、そっと話を逸らされたが責めはしない。相手側が拒絶している事を問いただすより、話をした方が賢明である。  本題を切り出そうと口を開いた時。目の端にある、機械のパネルの映像が見えた。  映像は、この街の地図か?
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