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「そうか、地主自らがか……。
正直困ったものだな。仕事に戻れば定高の護衛は出来なくなるし、しかしだ、地主自ら頼んできたにはそれなりの理由があるのだろうし。
あ、定高はそこいら辺りの事、何か聞いていたりとかしない？」
「一応は聞いている。
最近、行方不明者の数が不自然に増えているとの事だ。しかもこの異常増加は、争乱が始まってからとの事だと。
争乱の犠牲者か、地主側は判断をしかねている。というのも、死体すらないただの行方不明者らしいからな。だが、異常増加の点は気になるから調べてくれとの事だ」
「犠牲者と判断しかねる行方不明者……。
う～ん、これはかなり困ったな」
チラリと、自分を見ては困惑の顔を更に深めていく。護衛の任と監視者の仕事、どちらも同じくらいに大切な事のようだ。
片方取れば片方が取れず。二者択一とはこの事であるな。
両方を叶える妥協案があるものの、それを伝えてやる前に尋ねる。
「１つ聞くが。
どちらかの事しか選べない場合、護衛の任を解除して監視者の仕事をやるか。または逆に、監視者の仕事を放棄して護衛役を遂行（すいこう）するか。
エレアなら、どちらを選ぶんだ？」
「護衛の任も監視者の仕事も、どっちか選んでどっちか捨てろなんて間違ってるよ！
どっちも大切だし、どっちも捨てたくないよ！ 出来るなら、２つともこなしてやりたいくらいさ」
どちらかしか選べない場合と聞いたのだがな。どちらを選ばないではなく、どちらも選びたいと言うわけか……。
我が儘だな。なんて思わない。それが彼女なりの優しさだろうと思っておく。
先輩に憧れての護衛役の任も、監視者としての責任の仕事も、こなさせてやろう。
エレアに、妥協案の説明を始める。
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