第3章 ~青雷~

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「正直、安全から脱する事には関与したくないのが本音だ。  けど、不可解な事件をエレアに放っておさせといて、自分だけ関係ないふりはしてはならないだろう。地主様にそう、どやされた事だし。  それにだな――――」  次の言葉は、ほのめかすように言う。 「――――エレアなら。  どんな危険があったりしても、きっかりと護衛してくれるのだろう? 腕は期待するに値しているから、出来るな?」  こういう風に言えば、特にエレアみたいに単純な者なんかは……。 「護衛主に期待されてるからには、応えて見せようではないか!  断罪者がエレア・フォーデルライト。屍体や参加者が彷徨(うろつ)く夜道であろうと、主の身の安全を保証する」  ほら、乗ってきた。  胸を張り手をそこに当て、自信満々に宣言するからには、獅子奮迅の働きを本当に期待出来そうだな。  扱いやすいというには可哀想な表現であるが、実際にそうなのだから仕様がない。扱いやすい奴で良かった。  曇り顔がまた、晴れやかなものに戻った忙(せわ)しないエレアに、自分は言う。 「エレアも了承してくれたし、この事を地主に伝えてくるよ。  それから飯の支度に取り掛かるから、晩飯は1時間後。出来たら呼びに来るよ」  と、告げて、この部屋から退散しようとすれば。エレアに言葉で止められた。
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