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『――――で、良い返事は、期待通りに聞かせてもらえるのかしら?』
地主の催促が耳に届いた。
部屋を出た足で電話のところへ行き、こいつへ電話を入れたのだが。
挨拶も確認も無しに、いきなり最初の言葉がこれだからな……。電話を掛けたのが自分でなかった時どうするつもりだ?
などと、疑問は浮かぶが頭の中から払っておき、こいつの催促に応える。
「妥協案についてだが。2人で話し合った結果、案を受ける事に決まったよ。
良い返事が聞けて良かったな」
『あら? てっきり断ると思って出掛ける準備してたのに、無駄になったわね。
どういう風の吹き回しなの?』
期待してたのではないのか? ……さすがは数年のつきあいだな。エレアと違い、自分の性質をよく見抜いている事で。
でも、今回は少し違う。
「そっちが受けろなんて言うから、自分なりに考えて決めた結果だ。まぁ、エレア自体がその気だったというのもあるが。
とにかく、妥協案で満足だろ?」
『満足か? と聞かれるとね……。妥協案は私の中の及第点であって、満足ってもんじゃないわよ。
満足するなら、アンタのとこから彼女引き取って、アンタを街から追い出すのだけど、別にこれでもいっか』
そう軽く返されたら、何だか腑に落ちなくなるのだが……気にしないでおこう。
それよりも、先に聞いておかなければならない事がある。
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