第3章 ~青雷~

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「1番手っ取り早く解決するには、行方不明の原因を知り、犯人がいるなら捕まえるのが良いだろう。  参加者による人為的な可能性もあるし、屍体の捕食の可能性も無い訳ではない。根気がいる事だが、どちらであるか見極めないと手が出せないのさ。  そこでだ。私達が夜出歩いて、犯人が仮にいるなら出て来てもらう。出て来た犯人をボッコボコにして、地主に差し出せばOK。屍体なら倒せば済む話だ」  そう、プランを語る彼女はなんだか生き生きとしていた。信頼されている、という前向きな捉え方が働いた結果だろうか。  生き生きするのは喜ばしい事なのだが、プランの内容について自分は。 「…………それは、囮役と言わないか?」  否定して欲しいが為に、十分理解しているが聞かずにはいられなかった。  しかし、淡い期待は虚(むな)しくも次の言葉が粉砕する。 「あぁ、その通りだ。不審に夜出歩いていれば、犯人にとっては絶好の鴨だろう。  2人居たら警戒して手を出さないかもしれないが、そういった臆病者が行方不明事件など起こさないと踏んでいる。  屍体なら、2人も居る場所にわざわざ殺されに来ないし、来た奴だけ倒せば良い。こっちから追ったら、参加者に出会うかもしれないからね」  危険だらけだな……。自達を囮役にするプランの時点で、安全など皆無に等しい。  これは本当に、エレアの力を信頼するしかないな。  自分の中で不安が渦巻き、緩和させる為に牛蒡の炒めものに箸を伸ばすと、エレアの話はまだ終わっていなかった。
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