第3章 ~青雷~

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「エレアの話からして。参加者が犯人ならば、そいつは死人使いなのか?」 「いや、そう早い内に断定は出来ない。  監視者に処罰される危険を犯してまで、行方不明者を出すからには理由がある。しかも、行方不明者が仮に死んでいるなら、死体が見つかってない事から保管してると想像が付く。  死人使いの様に、死体そのものに用があるのか、または生きた人間を材料に何かして死体を隠しているか。この2点のどちらかだと私は思うよ。  犯人が死人使いかもしれないだけで、断定するにはまだ情報不足さ」  と言い、ミートボールを箸で突き刺して食べたエレア。刺し箸は、食事のマナー違反なのだが、咎(とが)めるのは面倒だ。  それを飲み込んでから、汁を啜(すす)っていた自分に続けて言う。 「本来なら、犯人探しは日中夜問わずするべきなのだが、定高は午前中学校だからな。日が落ちるまでは動けない。  夜しか仕事が出来ないけど、そこは地主に我慢してもらうしかないか……」 「妥協案と言ったのは向こうからだ。  つまり、こちらの生活を容認するけれども、私の言うことも聞きなさいって話だ。  もし、日中夜問わず仕事しなさいなら、こちらの生活を認めていない証拠。妥協案ですら無いだろう。  言葉には責任を取ってもらうさ。文句なんか言わせてたまるか」  本気で言って来そうなので、言葉を変に力を込めて発してしまった。  ただ、この断言に少しだけ安心したのか。先ほどまで申し訳なさそうだったエレアの顔に、少しだけ笑みがこぼれる。  後はそこから雑談が始まって、会話が途絶えない食事へと成っていった。
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