第3章 ~青雷~

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 談話で心地よかった食事も終わった後。洗い物を済ませ、自分は1度部屋へ戻り準備を行ってきた。  エレアに護衛を任せるとはいえ何があるか分からないし、一応は護身用の呪札を携帯しておく。売り物に手は出したくなかったが、命の方が優先順位は上。  と決めたからには、明日からは呪札作りを急がないと駄目だな……。今週の金曜日が締め切りだから、残った作業をいつやれるのかが問題だ。  と考えつつ靴を履き替え、玄関の前で待つ黒い影に声を掛ける。 「っと、待たせて悪かったな」  準備を終えるまで中に居れば良かったものを。玄関前で待っているのだから、寒空の下で待たせた事に罪悪感が生まれた。  自分の言葉を聞き、手に持つ機械のバネルから視線を外し、エレアは自分に言う。 「早く行こう定高。  もしかしたら、今日は家に居ない方が安全かもしれないな」  当然、次の自分の言葉は。 「ん、何故だ?」 「屍体の現在地を確認してないのか?  駄目だぞ定高。常に位置を把握しておかないと、いつの間にか近づかれていてお陀仏(だぶつ)になる。嫌だろ?  今言った事を胸に深く刻み込んで、今いる屍体の位置を確認してみてくれ。そうしたら理由が分かるよ」  勿体ぶられたな。  ……まぁいい。確認すれば分かる事ならば、聞き問うよりも手っ取り早い。  位置確認の為に目を閉じ、地図情報を外部から取り入れるようイメージすれば。
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