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翌朝、仕事に行く兄を見送ってから聖は病院へと向かった。
病室に行くと昨日と同じように上半身を起こし窓の外を見つめていた。
「こんにちは。」
声をかけるとゆっくりと振り返り声が返ってくる。
「こんにちは。今日はどうなさったんですか?」
「動けないと退屈だど思って、話し相手にでもなれればと。」
「そうですか。どうぞ。」
カタン…
空月に促され備え付けの椅子に座りとりとめの無い話をする。
殆ど自分の話ばかりだった。時々問いかけたりもしたが聞かれたく無い事にはただ笑ているだけで答えは返ってこなかった。
コンコン…
お昼を過ぎた頃病室のドア叩く音が響いた。聖が返事を返すと一人の男が静かに入って来た。
「兄貴、どうしたの?」
「弟が世話になった人に挨拶に来ただけだ。」
「そっか。」
「ああ。聖、花を持ってきたんだが花瓶はあるか?」
「この部屋には無いや。受付で聞いてくるから貸して。」
「頼む。」
花束を受け取った聖は受付へと歩いて行った。
開けっ放しのドアを閉めベッドの脇まで来た男は深々と頭を下げた。
「俺は聖の兄で櫻田竹流(さくらだ たける)と申します。弟を助けていただき有り難うございました。犯人の方は既に捕まえ然るべき処置をしましたのでご安心下さい。」
「…そうですか。」
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