第二章

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カタン… 「いらしゃいま…!?」  来客を告げるベルの音を聞いて奥から女性が顔をだした。 お互いの顔を見て二人は驚き一瞬言葉を失う。 「…空、月さん?」 「…櫻田さん、…何故ここに?」 「それはこちらです。突然居なくなられたのだから。」 「あっ…すみません。きちんとお話せずに転院してしまって。どうぞ。」 促され竹流はカウンターへと座る。 カチャン 陶器がぶつかりあう小さな音が静かな店内に響く。 出された紅茶を一口飲み気持ちを落ち着けてから話を続けた。 「貴女の事随分と捜しました。まさかこんな近くに居るとは思いもよりませんでしたよ。」 「…本当にすみません。ですが私は長期間この店を閉めておくわけにはいかないんです。だから…」 「空月さんが通ってらっしゃる病院はこの近くですか?傷は大丈夫ですか?」 「あ、はい。傷は完治しました。通っている所は病院というほどじゃないかもしれません。小さな個人経営だから。」 「はぁ、…それでは見つからないわけですね。」 「あの、本当にすみ…」 カランッ
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