第二章

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 二人の紅茶から独特の香りが漂ってくる。 特に何かを話すわけでもなく紅茶を飲み終えると二人は帰って行った。 カップを片付けている空月に何気無く声をかける。 「常連さんですか?」 「ええ。」 「独特の香りがする紅茶でしたね。何処のですか?」 「…私のブレンドです。」 「ブレンドもされるんですか。どんな味なのか俺も飲んでみたいですね。」 「…申し訳ありません。ブレンドは特定のお客様のみなので、今の櫻田さんにお出しする事は出来ないんです」 「そうですか。少し残念ですが諦めますよ。でもいつか飲んでみたいですね。」 「……」 「えっ?」 空月の声はとても小さく聞き返しても答えてはくれなかった。
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