第一章

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 冬の冷たさが無くなり春の暖かさを感じ始めた頃、俺は兄貴の元へと遊びに来ていた。 幼い頃分家の養子として東に連れて行かれてから本家の家族・兄貴に会えるのは長期休暇か一族ぐるみの集まりがある時だけになってしまった。  口数が少なく分家の古い奴等からは反感を買っているが俺は兄貴を尊敬してるし兄弟の中では本家に居る兄貴が一番好きだ。 俺が分家を継いだら全力で兄貴の手助けをしたいと思っている。  そんな兄貴に会えるという事で俺は浮かれていたのかもしれない。 自分達がどんな立場にいるのかを少し忘れていたんだ。そしてそれは起こった。 この出来事がどんな事になるかなんてこの時の俺には解っていなかった。 そう、俺は、何も解っていなかった…
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