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「ふゎ~」
駅から出てきた少年が両手を上げながら大きく伸びををする。
大きめのボストンバックを下に置くと空を仰ぎ見た。
「いい天気だ。これなら歩いて行けるな。」
焦げ茶色の短い髪に同じ色の大きめな瞳。その瞳と動きやすい服装のせいか幼い印象を受ける。
少年はバックを肩にかけると駅前を抜け大通りへと向かう。
その足取りは軽く顔には堪えきれない笑顔が浮かんでいた。
大通りに出る為の短い階段を飛び降りそのまま道を渡ろうとした時だった
「危ないっ!!」
危険を知らせる女性の声と同時に少年の体は歩道へと引っ張られる。
どすっ バンッバンッ
少年の体が地面に倒れる音と銃声が重なる。
キキィーー ブロロー…
通り抜けた車が一瞬ブレーキをかけたが停まる事無くそのまま走り去って行く。
「って~」
「…う、ぐっ」
少年が軽く頭をふって起き上がると自分の体を抱きしめるようにして女性が倒れている。その背中からは止まる事無く血が流れ服を赤く染めてゆく。
「大丈夫かっ!?今車をっ!!」
少年は慌て携帯を取り出すと救急センターへのボタンを押した。
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