第一章

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チッチッチッ…  腕時計の音が酷く大きく聞こえる。時々顔を上げ扉を見るがランプはついたまま。  運び込まれてから数時間、聖にとっての長い時間が終わった。 手術中のランプが消え医師と数人の看護師が出て来ると立ち上がり医師に問いかけた。 「先生、彼女はっ」 「大丈夫ですよ。弾は全て摘出しましたし銃創自体もそんなに深くはなっていませんでした。」 「それじゃぁ…」 「早ければ明日には意識を取り戻すと思いますよ。」 「…あぁ、良かった。」 「ですが彼女の身元が分かる物が無いので御家族への連絡が出来そうにないのですよ。」 「それでしたら俺の方で調べます。その間の費用も俺が払いますから。」 「…そうですか。では入院手続きをお願いいたしますね。」 「はい。有り難うございました。」  医師に礼を言い手続きを済ますと女性の病室を覗いてから病院を後にした。  病院前に迎えに来ていた車に乗ると車は静かに走り始めた。
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