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聖を乗せた車は街の中心部から少し離れた所にある家の前で停まった。
家の中に入るといつも使っている部屋に荷物を投げ入れてから縁側の方にある和室へと向かった。
「兄貴、いる?」
「ああ。」
短い返事を聞いてから障子を開け中に入る。
かなり広めの和室だが殆んど本棚で埋まっていて他には机と座椅子があるだけだった。
読んでいた本から顔を上げたのは先程病院に来た男だった。着物の衿を直しながら聖に座るよう声をかけた。
「お前を助けた女性はどうなった?」
「手術が終わって早ければ明日には目を覚ますんじゃないかって。」
「そうか。」
「また明日行ってくるよ。…分家は?」
「色々言ってきてたが付き合う義理は無い。後、犯人は割り出した。」
「そっか、有り難う兄貴。」
「別に構わん。」
笑顔を向ける聖に男は口元だけの笑みを返した。
暫くの間兄弟で話していたが日付が変わる頃に聖は部屋を後にした。
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