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大男は前に進み出て華蓮の形のいい顎を乱暴につかむ。品定めをするような目つきで少女を見、満足そうな笑みを浮かべた。
「へえ。口は悪いがキレイな顔してんじゃねえか。売ったら高くつきそうだなあ」
華蓮はしばらく男の顔をじっと見ていたが、突然花が開いたかのようににっこりと微笑んだ。赤い唇が言葉を紡ぐ。
「汚い手で触るな下衆が」
瞬間、男の顔から笑みは消え、怒りに歪む。
それが隙となった。
華蓮は右足で男の股間を思いきり蹴り上げ、前かがみによろけた男の喉を平手で薙ぐ。
痛みに顔を歪ませ、体のバランスを崩した男は派手な音を立てて地面に倒れた。
短く息を吐き、他の男達に目を向けた華蓮はわずかに目を見開く。
二人の男に細い両腕を封じられ、長い髪を乱し地に膝をつけた唯の姿があった。
近くで下卑びた笑いが起こる。
「ケンカする時は周りに気ィつけな。ヘタに動くんじゃねえぞ代わりにこっちのガキが傷つくからなあ」
その言葉に華蓮は中年スケベ男を鋭く睨みつける。その視線に気づいた男は目の下にしわを寄せ、少女の腹を拳で殴った。
「その目が気にくわねえんだよ。目上の人に対する礼儀ってもんを知れガキが!!」
咳にむせる華蓮は呼吸が落ち着くと、上目づかいに男を見て唇を歪めた。
「・・・そのガキ一人に随分な待遇をしてくれるな。人は群れると強情になるというが、こうまでしないと勝てないのか?一人では何もできないくせに」
言い終わらないうちに頬をぶたれる。腹を蹴られ、再び頬を殴られ、鈍い痛みが全身に走る。しかし華蓮は何の抵抗も見せずに男を見据え、立ちはだかる。
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