序章

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東アジアの大国、清。 「眠れる獅子」と恐れられ、強国と崇められた国。 しかし、多大なる権力をもつ英国はその実態をいち早く見抜き、一八四〇年、清に軍艦を送り総攻撃を仕掛けた。長年にわたる怠惰な生活を送ってきた軍隊は、最新技術を施した英国の無敵艦隊にかなうはずもなく、二年後、清は大敗を期す。 こうして誇り高き名声は、家の藻屑とともに砕け散った。 これが世に言う「アヘン戦争」。麻薬の一種とされる阿片の犠牲者を数多く残したまま、条約によって清は欧米の各国にいくつかの港を開放することになる。 外国に支配されつつある自国へ何の解決策も試みず、賠償金や戦費の支払いのためと国民に重税を強いる政府へ、人々は徐々に不満をつのらせていった。 そんな世の風潮の中、一人の青年が、華南で小さな反乱を起こす。 男女平等の精神と、漢民族国家設立の目的を掲げて。 苦しみのない国――――――「太平天国」を築こうと。
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