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「こーんなとこに居やがったかぁ。捜したぜえ」
突然背後から声がした。二人は驚いてそちらを見やる。先刻華蓮に中年スケベ男と称された者と三人の男が、にやついた笑みを湛えてそこに立っていた。
「さっきはよくも恥かかせてくれたなぁクソガキ。簀巻きにしてそこの海に放り込んでやろうか?」
中年スケベ男が喉で笑う。さっきとはうって変わって傲慢な態度だ。華蓮は無言で石段から立ち上がると、前に出、唯を手で制す。出てくるなという合図だ。
黒髪の少女は四人の男と面向かい、口端を緩く吊り上げる。
自分の倍はある体格の男達を前にしても怯む様子は全くない。
むしろ見下すような、傲然とした笑み。
「怖じ気づいたと思っていたが、しつこいやつだな。まだ殴られ足りないのか」
少女の言葉に男達は眉根を寄せる。言い返そうと中年スケベ男が口を開いたが、隣にいた大柄な男にたしなめられ、ぶつぶつ言いながらも後ろへ下がった。
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