1466人が本棚に入れています
本棚に追加
/134ページ
くだらない物語だ。
小さい頃はそれなりに怖がったものだが、十六を過ぎた今となっては馬鹿馬鹿しい昔語りに過ぎない。
だから、この内からくる震えはきっと武者震いだ。
もしくはただ寒いだけかもしれない。
夕暮れはとうに過ぎ行き、辺りは闇に包まれ始めている。
時は10月も終わり。
Tシャツ一枚では寒くなってきた。
僕。秋山一夜(あきやまいちや)は森の前でたたずんでいた。
一時間は経っただろうか。
どうも、頭でわかっていても一歩が踏み出せない。
でも僕には捨てるものも得るものもないのだ。
たとえ、ここで行方不明になったところで心配する人などいない。何を、迷う必要があるのだろうか・・・。
重い一歩を踏み出した。
最初のコメントを投稿しよう!