第二章

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扉の軋む音に、敏感に反応する。 机につっぷして転寝をしていた一夜は、音のしたほうへ目を向ける。 そこには、朝露に濡れたクリスがマントの露を払っていた。 「おかえり!」 満面の笑みを浮かべながら、クリスを迎える。 その元気な声に、驚いたのか目を丸くしてクリスは自分を見ていた。が、すぐに目をそらす。 「起きていたのか・・・?誰かきたのか?」 栗栖が帰ってから、カップを片付けていなかった。それに気付いたらしい。 「うん。栗ちゃんが来て、ちょっと話して帰ったよ」 栗ちゃんと耳に入るや否や、クリスは眉間にしわを寄せる。 「・・・話とはなんだ?」 「僕の迷いは何なの?って。」 正直に答えると、やっぱりという表情でクリスは不快な表情のままだ。 「で、言ったのか?」 「言ってない・・・でもそれで気付いたんだけどさ」 「・・・何だ?」 「クリスは何で何も聞かないの?」 「は?」 クリスが素っ頓狂な声を出した。きっと昨日のことを聞かれると思って、身構えたのに予想と違う質問だったので驚いたのだろう。 「そんなもの、ムリに聞くものでもないだろう。話したいなら聞くが」 「うん。そう言うかなって思った。でもさ・・」 僕は一呼吸置いた。 「僕を早く追い出したかったら、さっさと聞いて迷いを取り除いたほうがいいよね?」 「それは・・・」 栗ちゃんが話をしてきたときに、初めて気付いた。クリスがそれをしないってことは・・・ 「それに、僕みたいに遭難しててもクリスはいつも助けないんだってね」 僕はクリスに悟られないように、徐々に近づいていく。 クリスは目が泳いだまま考え込んでいるようだ。 「ねぇ。昨日、なんで僕にキスしたの?」 「!!?」 僕はクリスの傍まで来て、目を見て聞いた。 近づいていたことにも、ここで昨日のことを質問してくることにも驚いたようだ。 「・・・それは・・・」 僕の心は期待に膨らんだ。
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