第三章

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昔々、まだその町が村だったころの話。 その村に一人の青年が現れた。 その青年は漆黒の艶々とした長い髪、白磁の肌、そこに映える蒼い瞳。 切れ長の二重の瞳と、整えられた眉に小ぶりな鼻、薄い唇。唇だけは異様に赤く、その白い肌に余計に映える。 青年は身にまとう服もすべて黒だった。 村の人々は突然現れた青年に警戒した。外国人はおろか、同じ国の人間ですら県外からやってくることはまばらな村だ。 何の用があってこんな辺鄙な村にやってきたのか。 青年は纏う雰囲気とはうってかわって、にこやかな表情で答えた。 「私はこちらに遺跡の発掘で派遣されてきました。クリスと申します。」 村には森があり、そこにはなんだか昔の偉人の遺産があると言われていた。 ただ、入ったものが時々いなくなってしまうので誰も入ろうとはしない。 入らないので何があるのかわからない。そんなもののために命をはれる者はこの村にはいなかった。 「私の母国でも有名な研究者でしたから、その遺産がなんなのか解明しろと上司に言われまして」 クリスはかいつまんで、自分がここに派遣された経緯を話し、しばらく滞在する旨を伝えた。 だが、ここは小さな村で宿泊施設もない。 仕方なく村長の家へ滞在することになった。 その頃には、若い娘は皆クリスに惹かれ始めていた。 粗雑な男ばかりみていた娘たちには、紳士な振る舞いのクリスが外の人ということを抜きにしても、新鮮だった。 そして、その村唯一の古びた教会にも若い少女がいた。 名をーラスティアと言う。
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