第三章

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森に昔住みついた化学者が、森のどこかに魔法のクスリを作り隠している。 私たちの世界では有名な話だった。 私はそれを求め… 「ちょっと待って!?」 話の腰を折られて、クリスは不機嫌そうに問うた。 「なんだ?」 「クリスは村を襲って封印されたんだろ?血を飲むのに何でそんなクスリがいるんだよ?」 「つまり、そういうことだ」 まさか… 「私は血が嫌いなんだ!!」 「…え?」 「鉄臭くて甘くもなんともない!むしろしびれるような感覚まである!あんな不味いもの、飲まずに生きていけたら!!」 すごい剣幕で、両手を戦慄かせながら叫ばれ、一夜はぎょってする。 「…つまり、好き嫌いの問題…なんだ」 何歳かしらないが、クリスは時々子供じみている。 「…だから、毎日森へ行っていた…」 気恥ずかしさからか、小さな声で語り始めた。
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