第三章

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「話してみると、意外と勝気で、面白いと思った。そのまま帰る方法を教えても良かった。でも、少し引き止めたくなった」 クリスは目を離さない。一夜も目をそらせなくなって、真摯にクリスの言葉を聞いた。 「もしかしたら、教会の者以外と話すことに興味をもっただけかもしれない。きっかけは、そんなくだらないことだ。だが・・・」 そこで初めて言葉に詰まった。言っていいものか悩んでいるようだ。 「だが・・・何?」 一夜は先が聞きたくて、先を促した。 「・・・だんだん、その生活が楽しくなってきた。お前はいつも必死で。その姿が微笑ましくて、見ているだけで楽しかった」 「・・・趣味悪い」 憮然とした表情で一夜はにらみつけた。しかし、クリスには全く利いてないようだ。 「そんなかわいい顔をしても、怖くない」 困った表情をしたクリスは、一夜の眉間に寄ったしわをのばす。そんなことを言われるとは思ってもいなかった一夜は顔が急激に熱くなるのを感じた。 「なな、、、なに言って・・・・!!??」 顔を抑えられているので身動きがとれず、もがく。 「だがな。私はもう、大切な者を作れないんだ」 「え?」 目を見張った一夜に、クリスは真剣な瞳を向けた。 「私は、自分の意思に関係なく、大切な者の血を求めてしまう。それでは、彼女も救われない。私も、その大切な者も」 だから、もう、大切な者は作らない。 そう告げるクリスは苦しげで、本心ではないことはわかった。 でも。 それを認めてしまえば、不幸しかよばない、だれも喜ばない結果しか、自分は生み出せない。そう言っている様だった。
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