第四章

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「一夜、お茶」 クリスは読んでいる本から目を離さず、側に居る一夜に話しかけた。 しかし、返事がこない。 怪訝に思い、顔を上げ辺りを見回すと、すぐ近くでこちらを憮然と見つめる一夜が居た。 「なんだ、いるじゃないか。おち…」 「聞こえてるよ」 目が合うとすぐに、ふいっと視線をそらし、立ち上がってキッチンへ行く。 それをクリスは苦笑しながら見送った。 あのクリスの告白から数日。 結局日々を変わらず過ごしていた。少し変わったことは、クリスが優しく一夜を名前で呼ぶようになったこと。そして、ふとした甘い空気の流れ。その瞬間はぎこちなく気恥ずかしいが、すぐに大気に溶けてしまう。 「根性なし…」 「ん?なんか言ったか?」 クリスの声が聞こえないかのように、ガチャンと大きな音を立てて、ヤカンを火にかける。 あの話をしてくれたのは、すごく嬉しかった。クリスの心の中を垣間見れたような気がして。 でも結局、最後に通告を受けた。 まるで近づいたかと思ったら、突然突き飛ばされた様な心地だった。
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